理科・社会の教科書の特有表現、教科書読解のポイント - 暗記だけでは成績が上がらない理由
「理科も社会も、暗記すれば点数が取れる」
そう思っていませんか?確かに、用語を覚えることは大切です。でも実は、理科・社会こそ、教科書を正確に読む力が必要な教科なのです。
新井紀子氏の研究では、読解力(教科書を正確に読む力)と学力テストの総合点には0.7を超える強い相関があることが明らかになっています。つまり、理科・社会の成績が上がらない原因は「暗記不足」ではなく、**「教科書が読めていない」**ことかもしれないのです。
今回は、理科・社会の教科書特有の表現と、読解のポイントについて詳しく解説していきます。
「暗記科目」という誤解
理科と社会は、しばしば「暗記科目」と呼ばれます。
- 元素記号を覚える
- 歴史の年号を覚える
- 地名を覚える
- 実験器具の名前を覚える
もちろん、これらの知識は必要です。でも、覚えるだけでは問題は解けません。
なぜなら、テストで問われるのは:
- 「なぜそうなるのか」という因果関係
- 「どういう条件のときに」という前提条件
- 「AとBの違いは何か」という比較
- 「この実験から何が分かるか」という推論
これらはすべて、教科書を正確に読み取る力がなければ理解できないのです。
理科の教科書、こんな表現に注意!
理科の教科書には、独特の言い回しや表現が数多く使われています。
1. 因果関係を示す表現
「〜すると、〜になる」「〜のため、〜する」
例: 「水を加熱すると、水蒸気になる。」
つまずきポイント:
- 「加熱する」という原因
- 「水蒸気になる」という結果
この因果関係を正確に理解できないと、「水が水蒸気になる条件は?」という問題に答えられません。
2. 条件を示す表現
「〜の場合」「〜のとき」「〜ならば」
例: 「気温が0度以下の場合、水は凍る。」
つまずきポイント: 条件(0度以下)を読み飛ばすと、「水は凍る」という結果だけが頭に残り、「水はいつでも凍る」と誤解してしまいます。
3. 手順を示す表現
「まず〜、次に〜、そして〜」
実験の手順を説明する文章です。
例:
まず、ビーカーに水を100mL入れる。
次に、食塩を10g加えてよくかき混ぜる。
そして、溶け残った食塩の量を測定する。
つまずきポイント: 手順の順序を間違えると、実験が失敗します。「まず」「次に」「そして」という接続語を読み飛ばすと、正しい手順が分からなくなります。
4. 比較を示す表現
「〜に比べて」「〜の方が」「〜と違って」
例: 「植物細胞は、動物細胞に比べて、細胞壁がある。」
つまずきポイント: 何と何を比較しているのか(植物細胞 vs 動物細胞)、違いは何か(細胞壁の有無)を正確に読み取る必要があります。
5. 定義を示す表現
「〜とは、〜のことである」「〜を〜という」
例: 「物質が酸素と化合することを、酸化という。」
つまずきポイント: 定義は暗記するだけでなく、意味を理解することが重要です。「酸化=物質と酸素が化合する」という関係を正確に読み取れないと、応用問題が解けません。
6. 実験結果を示す表現
「〜が観察された」「〜という結果になった」「〜ことが分かった」
例: 「実験の結果、BTB溶液が黄色に変化したことから、液性が酸性であることが分かった。」
つまずきポイント:
- 観察した事実:BTB溶液が黄色
- そこから導かれる結論:液性が酸性
この「事実→結論」の流れを理解できないと、「なぜそう言えるのか」が分かりません。
社会の教科書、こんな表現に注意!
社会科の教科書にも、日常会話では使わない独特の表現がたくさんあります。
1. 時系列を示す表現
「〜の後」「〜より前」「〜の時代」「〜期」
例: 「江戸時代の後、明治時代になった。」
つまずきポイント: 歴史の流れ(時系列)を正確に把握する必要があります。「前」「後」「〜期」などの言葉を読み飛ばすと、出来事の順序が分からなくなります。
2. 因果関係を示す表現
「〜の結果」「〜をきっかけに」「〜が原因で」
例: 「黒船の来航をきっかけに、日本は開国した。」
つまずきポイント:
- きっかけ(原因):黒船の来航
- 結果:開国
歴史の出来事は、必ず原因と結果の関係があります。この因果関係を理解できないと、「なぜそうなったのか」が説明できません。
3. グラフ・表・地図の説明
「〜から〜が読み取れる」「〜に示すように」「〜の通りである」
例: 「グラフから読み取れるように、人口は年々増加している。」
つまずきポイント: 社会科では、文章だけでなく、グラフ・表・地図などの非言語情報を読み取る力も必要です。
新井紀子氏の『新井紀子の読解力トレーニング』でも、「社会のグラフの特徴をまとめよう」という章があり、グラフ読解の重要性が強調されています。
4. 比較を示す表現
「〜と異なり」「〜に対して」「〜の一方で」
例: 「太平洋側は降水量が多いのに対して、日本海側は冬に雪が多い。」
つまずきポイント: 地理では、地域間の比較がよく出てきます。「〜に対して」「一方で」などの言葉で、何と何を比較しているのかを正確に読み取る必要があります。
5. 抽象的な概念
「民主主義」「持続可能な社会」「グローバル化」
社会科の教科書には、抽象的で難しい概念がたくさん出てきます。
つまずきポイント: これらの言葉は、日常会話ではほとんど使いません。そのため、意味が分からないまま読み飛ばしてしまうことが多いのです。
6. 資料の引用
「〜によると」「〜は次のように述べている」
例: 「日本国憲法第25条によると、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」
つまずきポイント: どこからの情報なのか(情報源)を明確にする表現です。「誰が」「何を」言っているのかを正確に読み取る必要があります。
多くの塾が取り組んでいる理科・社会指導
もちろん、多くの塾では理科・社会の指導に力を入れています。
- 重要語句の暗記サポート
- 実験・観察のポイント解説
- 歴史の流れを分かりやすく図解
- 地図やグラフの読み取り練習
- 過去問演習による傾向対策
これらのアプローチは非常に効果的で、多くのお子さまが成績を伸ばしています。
特に、理科の実験手順を実際に見せてくれる映像教材や、社会の歴史を分かりやすくまとめた年表など、視覚的に理解を深める工夫は素晴らしいです。
しかし、その前に「読める」ようになっているか?
どんなに分かりやすい解説も、教科書そのものを読めていなければ、自力で学習を進めることができません。
新井紀子氏は『新井紀子の読解力トレーニング』の中で、次のように述べています:
「教科書を持って帰りたくない人は、算数(数学)・理科・社会の3教科だけは必ず毎日持ち帰ることにしましょう。」
なぜ、この3教科なのでしょうか?
それは、これらの教科は教科書を読むことで自学自習ができる教科だからです。
逆に言えば、教科書を読めなければ:
- 塾で習ったことを復習できない
- テスト前に自分で勉強できない
- 新しい単元を予習できない
つまり、教科書を読む力がないと、塾に頼りきりになってしまうのです。
理科・社会で特に重要な「読解のポイント」
ポイント1:因果関係を図にする
理科・社会は、原因と結果の関係を理解することが重要です。
練習方法: 教科書を読みながら、「原因→結果」を矢印で図にしてみましょう。
理科の例:
水を加熱する(原因) → 温度が上がる(結果) → 沸騰する(結果)
社会の例:
黒船来航(原因) → 開国を迫られる(結果) → 不平等条約(結果)
ポイント2:条件に下線を引く
理科の実験や、社会の出来事には、必ず「条件」があります。
練習方法: 「〜の場合」「〜のとき」という条件を示す言葉に、下線を引きながら読みましょう。
理科の例: 「気温が0度以下の場合、水は凍る。」
社会の例: 「戦後、日本は民主主義国家となった。」
ポイント3:比較表を作る
理科・社会では、AとBの違いを問われることが多いです。
練習方法: 比較する項目を表にまとめましょう。
理科の例:
| 植物細胞 | 動物細胞 | |
|---|---|---|
| 細胞壁 | ある | ない |
| 葉緑体 | ある | ない |
社会の例:
| 太平洋側 | 日本海側 | |
|---|---|---|
| 夏の降水量 | 多い | 少ない |
| 冬の降水量 | 少ない | 多い(雪) |
ポイント4:グラフ・図から「変化」を読み取る
社会科では特に、グラフや図から情報を読み取る力が必要です。
練習方法: グラフを見たら、次の3点をまとめてみましょう。
- 何のグラフか(テーマ)
- 全体的な傾向(増えているか、減っているか)
- 特徴的な変化(急に増えた年、など)
新井紀子氏の『新井紀子の読解力トレーニング』にも、「社会のグラフの特徴をまとめよう」という章があり、グラフ読解の具体的な方法が紹介されています。
ポイント5:実験手順を「自分の言葉で」説明する
理科の実験手順を、ただ読むだけでなく、自分の言葉で説明してみることが大切です。
練習方法: 教科書を閉じて、実験手順を誰かに説明してみましょう。うまく説明できなければ、正確に読めていない証拠です。
新井紀子氏の『新井紀子の読解力トレーニング』でも、「理科のまとめを書いてみよう」という章で、実験のまとめ方が詳しく解説されています。
すべての教科の土台は「読解力」
新井紀子氏の研究では、次のことが明らかになっています:
リーディングスキルテスト(RST)の能力値と、小中学生の学力テストの総合点には、0.7を超える強い正の相関がある
つまり、教科書を読む力が高い子どもは:
- 国語だけでなく
- 算数・数学も
- 理科も
- 社会も
すべての教科で成績が良いのです。
なぜなら、すべての教科は「教科書を通して学ぶ」からです。
理科の実験手順も、教科書に書いてあります。 社会の歴史の流れも、教科書に書いてあります。 数学の公式の意味も、教科書に書いてあります。
教科書を読む力 = すべての学びの入り口なのです。
「暗記すればいい」という思い込みの危険性
「理科・社会は暗記すればいい」
この考え方には、大きな落とし穴があります。
落とし穴1:応用問題が解けない
暗記しただけでは、「なぜそうなるのか」が分かりません。そのため、少しひねった応用問題になると、途端に解けなくなります。
落とし穴2:すぐに忘れる
意味を理解せずに暗記したことは、すぐに忘れます。テストが終わったら忘れてしまい、また1から覚え直し…という悪循環に陥ります。
落とし穴3:勉強が嫌いになる
意味が分からないまま暗記を続けるのは、とてもつらいことです。理科・社会が嫌いになり、勉強そのものが嫌いになってしまうこともあります。
「教科書を読めるようにする」という新しいアプローチ
私たちの「教科書を読めるようにする塾」では、新井紀子氏が開発した「リーディングスキルテスト(RST)」の研究成果を活用し、理科・社会の教科書特有の表現を正確に読み取る力を育てることに特化しています。
具体的な取り組み
1. 因果関係を「見える化」する
- 理科:「原因→結果」を図にする練習
- 社会:「出来事→影響」を矢印で整理する練習
2. 条件を「明確化」する
- 「〜の場合」「〜のとき」に注目する習慣づけ
- 条件が変わると、結果も変わることを理解する
3. 比較表を作る練習
- AとBの違いを表にまとめる
- 共通点と相違点を整理する
4. グラフ・図の読み取り訓練
- グラフから「何が分かるか」を言語化する
- 数値の変化から「傾向」を読み取る
5. 実験手順の言語化
- 手順を自分の言葉で説明する練習
- 「なぜその手順なのか」を考える
6. 個別対応の徹底 お子さま一人ひとりの「読解のつまずき」は違います。
- 因果関係が苦手なのか
- 条件を読み飛ばしてしまうのか
- グラフが読めないのか
これらを丁寧に見極めながら、個別の学習計画を立てていきます。
まとめ:理科・社会こそ、「読める」が鍵
理科・社会は「暗記科目」ではありません。
教科書には:
- 因果関係を示す表現
- 条件を示す表現
- 手順を示す表現
- 比較を示す表現
- グラフ・図の説明
これらの特有の表現を正確に読み取る力が、理科・社会の成績を左右します。
多くの塾では、分かりやすい解説や暗記のサポートをしてくれます。それは非常に価値のあるアプローチです。しかし、その前段階として、教科書を自分で読める力を身につけることが、実は最も重要な学習の土台になります。
「教科書を読めるようにする塾」では、新井紀子氏の研究成果に基づいた科学的なアプローチで、お子さまの読解力を根本から育てていきます。
教科書が読めれば:
- 理科の実験の意味が分かる
- 社会の歴史の流れが理解できる
- 自分で予習・復習ができるようになる
- 応用問題も解けるようになる
- 勉強が楽しくなる
読解力は、理科・社会の成績を上げるだけでなく、すべての教科の土台となる一生の財産です。
こんなお悩み、ありませんか?
- 「理科・社会の成績が伸びない」
- 「暗記しても、すぐに忘れてしまう」
- 「応用問題になると、途端に解けなくなる」
- 「実験の意味が分かっていないようだ」
- 「塾に通っても、理科・社会だけ上がらない」
もしかしたら、それは「暗記不足」ではなく、**「教科書が読めていない」**のかもしれません。
私たちは、新井紀子氏の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』『シン読解力』『新井紀子の読解力トレーニング』で解説されている読解力育成メソッドをベースに、お子さま一人ひとりに合わせた個別の学習支援を行っています。
まずは理科・社会の教科書特有の表現を理解することから。そこから、本当の学びが始まります。
▶ 教科書を読めるようにする塾について詳しく見る https://kyokasyo.com
参考文献
- 新井紀子(2018)『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社
- 新井紀子(2025)『シン読解力:学力と人生を決めるもうひとつの読み方』東洋経済新報社
- 新井紀子(2024)『新井紀子の読解力トレーニング』東京書籍
- 一般社団法人 教育のための科学研究所「リーディングスキルテストについて」