国語の教科書特有の表現について解説 - なぜ「国語なのに」読めないの?
「国語なのに、教科書が読めていない…?」
そんな話を聞いて、驚かれたかもしれません。でも、これは決して珍しいことではありません。新井紀子氏の研究によると、進学校の高校生でさえ、半数以上が教科書を正確に読み取れていないという事実が明らかになっています。
「うちの子は本が好きだから大丈夫」 「会話は普通にできているから読めているはず」
そう思っていても、実は教科書には日常会話とは全く違う「特有の表現」が使われているのです。今回は、国語の教科書特有の表現について、詳しく解説していきます。
「読める」の意味が違う
新井紀子氏の著書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』では、衝撃的な調査結果が報告されています。
子どもたちに「教科書を読めていますか?」と聞くと、**85%が「読めている」**と答えます。
しかし、実際にテストをすると、中学生の約3割が、中学校の教科書レベルの文章を正確に読み取れていないことが分かったのです。
なぜこんなことが起きるのでしょうか?
それは、子どもたちが考えている「読める」と、実際に必要な「読める」が違うからです。
- 子どもが思う「読める」: 文字が読める、音読できる
- 本当に必要な「読める」: 文章の意味を正確に理解できる
つまり、文字は読めても、内容を理解できていないことが多いのです。
国語の教科書は「文章語」で書かれている
私たちが普段使う言葉と、教科書で使われる言葉は大きく異なります。
日常会話 vs 文章語
日常会話の例: 「昨日ね、友達と遊びに行ったら、すごく楽しかったんだよ!」
教科書の文章語: 「昨日、友人と外出した際、非常に充実した時間を過ごした。」
同じことを伝えていますが、まったく印象が違いますよね。
教科書では:
- 「ね」「よ」などの話し言葉は使わない
- 「友達」→「友人」のようなフォーマルな言葉を使う
- 「すごく」→「非常に」のような書き言葉を使う
- 短い文ではなく、複雑な構造の文が多い
このような「文章語」に慣れていないと、教科書を読むこと自体が苦痛になってしまうのです。
国語の教科書、2つの「読み方」が必要
国語の教科書には、主に2種類の文章があります。
1. 説明文・論説文
筆者が自分の考えや事実を説明する文章です。
説明文・論説文の特有表現:
接続語
- 「しかし」「一方」「つまり」「例えば」「なぜなら」
- これらの言葉で、文章の流れや筆者の論理を示している
問いかけ表現
- 「〜だろうか」「〜ではないか」
- 読者に問いかけて、自分の主張を強調する表現
筆者の主張を表す表現
- 「〜と考える」「〜と思う」「〜だと言える」
- 筆者の意見を示す大切な部分
抽象的な概念
- 「多様性」「持続可能性」「グローバル化」
- 日常会話ではあまり使わない難しい言葉
つまずきのポイント:
多くの子どもは、説明文を「最初から最後まで同じように大事」だと思って読んでしまいます。
でも実際は:
- 筆者の主張(一番大事) ← ここをつかむことが重要!
- 具体例(主張を分かりやすくするため)
- 理由説明(なぜそう考えるのか)
この「どこが大事か」の区別ができないと、何が書いてあるのか分からなくなってしまいます。
2. 物語文・小説
登場人物の行動や心情を描いた文章です。
物語文の特有表現:
心情を表す言葉
直接的な表現:
- 「嬉しい」「悲しい」「悔しい」
間接的な表現(これが難しい!):
- 「胸が熱くなった」→ 感動している
- 「顔がほてった」→ 恥ずかしい
- 「息が詰まりそうだった」→ 緊張している
表現技法
- 直喩: 「〜のような」を使った比喩(ひまわりのような笑顔)
- 隠喩: 比喩だと明示しない表現(鋼の心)
- 擬人法: 人間でないものを人間のように表現(春が近づいてくる)
情景描写
登場人物の心情を、景色や天気で表現します。
- 「空が曇ってきた」→ 不安な心情を表す
- 「太陽が輝いていた」→ 明るい心情を表す
つまずきのポイント:
物語文で最も多いのが、「書いていないこと」を読み取る必要がある場面です。
例えば: 「A君は黙って、うつむいたまま動かなかった。」
この一文から、A君がどんな気持ちなのかを推測する必要があります。
- 悲しいのか
- 怒っているのか
- 困っているのか
前後の文脈から判断しなければならないのですが、これが非常に難しいのです。
具体例:こんな表現でつまずく
実際に子どもたちがつまずく表現を見てみましょう。
例1:「〜ではなく」の表現
文章: 「この問題を解決するには、対症療法ではなく、根本的な対策が必要だ。」
つまずくポイント: 「ではなく」という否定の表現を読み飛ばしてしまい、「対症療法が必要」だと誤解してしまう。
例2:指示語
文章: 「太郎は公園で花子に会った。彼女は笑顔で手を振った。」
つまずくポイント: 「彼女」が誰を指しているのか混乱する。太郎なのか花子なのか、瞬時に判断できない。
例3:複雑な文構造
文章: 「昨日図書館で借りた、友達が勧めてくれた小説を、今朝読み終えた。」
つまずくポイント: 修飾語が多くて、主語と述語の関係が分かりにくい。「誰が」「何を」「どうした」のかを整理できない。
例4:会話の主
物語文の一節:
「ごめん」
「いいよ」
「本当にごめん」
「気にしないで」
つまずくポイント: 会話が連続すると、誰が何を言っているのか分からなくなる。特に、必ずしも交互に話しているわけではないため、混乱しやすい。
多くの塾が取り組んでいる国語指導
もちろん、多くの塾では国語指導に力を入れています。
- 語彙力を増やす指導
- 読解問題のパターン学習
- 記述問題の書き方指導
- 文法知識の習得
これらのアプローチは、確かに重要で効果的です。多くのお子さまが、優れた指導によって国語力を伸ばしています。
特に、中学受験を控えたお子さま向けの塾では、高度な読解技術を教えてくれます。物語文の心情把握、説明文の要約など、テクニックを身につけることで点数アップにつながります。
しかし、その前に「読める」ようになっているか?
ただし、どんなに優れた読解技術も、教科書の文章そのものを正確に読めていなければ意味がありません。
新井紀子氏の研究では、次のことが明らかになっています:
- 読解力(教科書を正確に読む力)と学力テストの総合点には、0.7を超える強い相関がある
- つまり、教科書を読む力が高い子どもは、すべての教科で成績が良い
読解力は、国語だけでなく:
- 算数の文章題
- 理科の実験手順
- 社会の資料読解
すべての教科の土台になる力なのです。
「教科書を読めるようにする」という新しいアプローチ
私たちの「教科書を読めるようにする塾」では、新井紀子氏が開発した「リーディングスキルテスト(RST)」の研究成果を活用し、教科書の特有表現を正確に読み取る力を育てることに特化しています。
具体的な取り組み
1. 文章語に慣れる練習
- 日常会話と文章語の違いを理解する
- 教科書レベルの語彙を、実際に使えるようにする
2. 文章構造を「見える化」する 説明文では:
- 接続語にマーカーを引く
- 筆者の主張と具体例を区別する
- 段落ごとの役割を理解する
物語文では:
- 登場人物を整理する
- 時間や場所の移動を図にする
- 会話の主を明確にする
3. 「書いていないこと」を推測する力
- 文脈から心情を読み取る練習
- 指示語が何を指すか確認する習慣
- 情景描写の意味を考える
4. 表現技法を理解する
- 直喩・隠喩の違いを知る
- 擬人法が使われている理由を考える
- 表現技法が使われる場面=作者が強調したい部分、と理解する
5. 個別対応の徹底 お子さま一人ひとりの「読解のつまずき」は違います。
- 接続語でつまずいているのか
- 複雑な文構造で迷っているのか
- 心情読解が苦手なのか
これらを丁寧に見極めながら、個別の学習計画を立てていきます。
すべての学びは「読める」から始まる
「勉強が苦手」「成績が上がらない」というお悩みの根本原因は、実は「教科書が読めていない」ことかもしれません。
新井紀子氏の調査では、クラスの9割が教科書を正確には読めていないという衝撃的な事実が明らかになりました。
でも、だからこそチャンスでもあります。
教科書を正確に読めるようになれば:
- 自分で学習を進められるようになる
- 国語だけでなく、全教科の成績が上がる
- 勉強が楽しくなる
- 自信がつく
読解力は、決して「生まれつきのセンス」ではありません。正しいトレーニングで、誰でも伸ばすことができる力なのです。
国語こそ、すべての教科の入り口
「国語は得意なのに、算数が苦手」という子はいます。 でも、「教科書が読める」子は、どの教科でも一定以上の成績を取れることが研究で証明されています。
なぜなら、すべての教科は「教科書」を通して学ぶからです。
- 算数の文章題も、教科書に書いてある
- 理科の実験手順も、教科書に書いてある
- 社会の歴史も、教科書に書いてある
つまり、教科書を読む力 = すべての学びの土台なのです。
まとめ:「読める」は作れる
国語の教科書には、日常会話とは全く異なる特有の表現が使われています。
- 文章語という独特の言葉づかい
- 説明文と物語文、それぞれの読み方
- 接続語や表現技法などの特殊な表現
- 「書いていないこと」を読み取る必要性
これらを知らないまま勉強を続けても、お子さまは「なぜできないのか」すら分からず、苦しんでしまいます。
多くの塾では、読解問題の解き方やテクニックを教えてくれます。それはとても大切なアプローチです。しかし、その前段階として、教科書の特有表現を正確に読み取る基礎力を身につけることが、実は最も重要な学習の土台になります。
「教科書を読めるようにする塾」では、新井紀子氏の研究成果に基づいた科学的なアプローチで、お子さまの読解力を根本から育てていきます。
教科書が読めれば、勉強は必ず楽しくなります。 読解力は、お子さまの一生の財産です。
こんなお悩み、ありませんか?
- 「国語の成績が伸びない」
- 「本は読むのに、テストで点が取れない」
- 「問題の意味が分かっていないようだ」
- 「塾に通っても、国語だけ上がらない」
もしかしたら、それは「教科書特有の表現」を読み取る力が不足しているのかもしれません。
私たちは、新井紀子氏の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』『シン読解力』で解説されている読解力育成メソッドをベースに、お子さま一人ひとりに合わせた個別の学習支援を行っています。
まずは教科書の特有表現を理解することから。そこから、すべての学びが始まります。
▶ 教科書を読めるようにする塾について詳しく見る https://kyokasyo.com
参考文献
- 新井紀子(2018)『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社
- 新井紀子(2025)『シン読解力:学力と人生を決めるもうひとつの読み方』東洋経済新報社
- 一般社団法人 教育のための科学研究所「リーディングスキルテストについて」