国語できる人は成績がいいのはなぜ?ポイントは読解力ですよ
「国語ができる子は、他の教科も成績が良い」
学校の先生や塾の先生から、こんな話を聞いたことはありませんか?実は、これは単なる経験則ではなく、科学的に証明された事実なのです。
新井紀子氏の研究では、読解力(教科書を正確に読む力)と学力テストの総合点には、0.7を超える強い相関があることが明らかになっています。さらに驚くべきことに、ある県では高校の入学偏差値とリーディングスキルテスト(RST)の能力値の相関係数が0.95という、ほぼ完全に近い相関関係が見られたのです。
今回は、なぜ国語ができる人は成績が良いのか、そのカギとなる「読解力」について詳しく解説していきます。
「国語ができる=読解力が高い」とは限らない
まず最初に、重要なことをお伝えします。
「国語のテストで点数が取れる」ことと「読解力が高い」ことは、必ずしも同じではありません。
新井紀子氏は、私たちが日常的に「読解力」と呼んでいるものとは異なる、より本質的な読解力を**「シン読解力」**と名づけました。
一般的な「国語の読解力」とは?
- 物語の登場人物の気持ちを読み取る
- 作者の心情を推測する
- 行間を読む
- 文学的な表現を味わう
これらは確かに大切な力ですが、新井氏が指摘するのは別の力です。
「シン読解力」とは?
教科書や辞書、新聞などで使われる「知識や情報を伝達する目的で書かれた文書」を正確に読み解く力
つまり:
- 算数の文章題を正確に読む力
- 理科の実験手順を理解する力
- 社会の資料を読み取る力
- すべての教科で必要な、基礎的な読解力
これこそが、成績を左右する本当の「読解力」なのです。
衝撃のデータ:読解力と学力の強い相関
新井紀子氏が開発した「リーディングスキルテスト(RST)」の受検者は、2024年にはのべ50万人を超えました。
この膨大なデータから、驚くべき事実が明らかになりました。
データ1:学力テストとの相関
RSTの6分野の平均能力値と、小中学生の学力テストの総合点との間に、0.7を超える強い正の相関が発見されました。
これは何を意味するのでしょうか?
相関係数0.7というのは、統計学では「強い相関」とされる数値です。つまり:
- 読解力が高い子どもは、学力テストの総合点も高い
- 読解力が低い子どもは、学力テストの総合点も低い
この関係は、ほぼ確実に成り立つということです。
データ2:偏差値との驚異的な相関
さらに驚くべきデータがあります。
ある県では、高校の入学偏差値とRSTの能力値の相関係数が0.95もあった
相関係数0.95は、ほぼ完全に近い相関です。つまり、読解力が学力をほぼ決定していると言えるのです。
新井氏は次のように述べています:
「中3以上になると読解力は自然には上がらないので、RSTの能力値が学力をほぼ決定していると言えます。」
データ3:大学合格者数との関係
B県立高校の調査では、シン読解力が高い生徒が多い学校ほど、有名私立大学に多くの合格者を出していることが散布図から読み取れました。
つまり、読解力は:
- 中学・高校の成績に影響するだけでなく
- 大学受験の合否まで左右する
一生を通じて重要な力なのです。
なぜ読解力が全教科の成績を左右するのか?
「読解力がそんなに重要なの?」
そう思われるかもしれません。でも、よく考えてみてください。
すべての教科は「教科書を通して」学ぶ
- 算数・数学: 文章題を読む、公式の意味を理解する
- 理科: 実験手順を読む、観察結果を読み取る
- 社会: 資料を読む、グラフを解釈する
- 英語: 長文を読む、文法の説明を理解する
どの教科も、まず教科書を読めなければ、内容を理解できません。
つまり:
読解力 = すべての学びの入り口
なのです。
「読めない」から「分からない」の悪循環
読解力が不足していると、こんな悪循環に陥ります:
- 教科書が読めない
- 内容が理解できない
- 問題が解けない
- 勉強が嫌になる
- ますます読まなくなる
- さらに読めなくなる
逆に、読解力があれば:
- 教科書が読める
- 自分で理解できる
- 問題が解ける
- 勉強が楽しくなる
- もっと読むようになる
- さらに理解が深まる
この好循環が生まれるのです。
多くの塾が取り組んでいる国語指導
もちろん、多くの塾では国語指導に力を入れています。
- 漢字・語彙の学習
- 文法の指導
- 読解問題の解き方
- 記述問題の添削
- 読書指導
これらのアプローチは非常に価値があり、多くのお子さまが国語力を伸ばしています。
特に、読解問題のパターンを教えてくれる塾や、記述問題の書き方を丁寧に指導してくれる塾は、テストの点数アップに大きく貢献しています。
また、読書習慣を育てる取り組みも素晴らしいです。本を読むことで語彙が増え、文章に親しむことができます。
しかし、その「国語力」は本当の読解力か?
ただし、新井紀子氏の研究で明らかになった衝撃的な事実があります。
読書習慣や国語の成績と、シン読解力(教科書を正確に読む力)との間に、明確な相関関係は見られませんでした。
つまり:
- 本をたくさん読んでいても、教科書が読めないことがある
- 国語のテストで点数が取れても、他教科で苦戦することがある
なぜでしょうか?
それは、文学作品を読む力と、教科書を正確に読む力は、別のスキルだからです。
「シン読解力」こそが、成績を決める
新井紀子氏が強調するのは、次の点です:
シン読解力は、国語や読書では身につかない。
シン読解力はスキルであり、トレーニングによって年齢を問わず身につけることができる。
シン読解力が必要な場面
算数の例: 「太郎君は、花子さんより3個多くりんごを持っています。花子さんは5個持っています。太郎君は何個持っていますか?」
これを正確に読み取るには:
- 「より」「多く」という比較の表現
- 数量関係の把握
- 「誰が」「何を」の主語・目的語の識別
これらは、物語を読むのとは全く違うスキルです。
理科の例: 「ビーカーに水を100mL入れた後、食塩を10g加えてよくかき混ぜる。」
これを正確に読み取るには:
- 手順の順序の理解
- 数値の正確な把握
- 「後」「よく」などの条件の理解
社会の例: 「太平洋側は降水量が多いのに対して、日本海側は冬に雪が多い。」
これを正確に読み取るには:
- 「に対して」という対比の表現
- 地域間の違いの把握
- 季節条件の理解
これらすべてに共通するのは、事実を正確に読み取る力です。
読解力は「才能」ではなく「スキル」
新井氏の研究で分かった、希望に満ちた事実があります。
読解力は、正しいトレーニングによって、大人でも伸ばすことができる。
実際に、RSTを導入して読解力向上の取り組みを始めた学校では:
- RSTの能力値が上がった
- 全国学力テストの点数も上がった
という成果が次々と報告されているのです。
つまり、読解力は:
- 生まれつきの才能ではない
- センスの問題でもない
- 努力すれば、誰でも伸ばせるスキル
なのです。
「教科書を読めるようにする」という新しいアプローチ
私たちの「教科書を読めるようにする塾」では、新井紀子氏が開発した「リーディングスキルテスト(RST)」の研究成果を活用し、シン読解力=教科書を正確に読む力を育てることに特化しています。
一般的な国語指導との違い
多くの塾の国語指導(これも大切!):
- 漢字・語彙を増やす
- 物語の心情を読み取る
- 作文の書き方を学ぶ
- 読解問題のパターンを覚える
私たちのアプローチ:
- 教科書の文章を「正確に」読む
- 「事実」を「事実として」読み取る
- すべての教科の土台となる読解力を育てる
これは、国語指導の代わりではなく、その土台となるものです。
具体的な取り組み
1. 教科書を「読む」練習
- 一字一句を丁寧に読む習慣づけ
- 「以外」「のうち」などの重要な言葉を見逃さない訓練
2. 主語・述語の明確化
- 「誰が」「何を」「どうした」を正確に把握する
- 複雑な文構造を整理する
3. 指示語の特定
- 「これ」「それ」が何を指すのか確認する
- 文章の論理的な流れを追う
4. 比較・対比の理解
- 「〜に対して」「〜と違って」の表現を読み取る
- 何と何を比較しているのか明確にする
5. 条件の把握
- 「〜の場合」「〜のとき」を読み飛ばさない
- 前提条件を正確に理解する
6. 全教科で実践 国語だけでなく:
- 算数の文章題
- 理科の実験手順
- 社会の資料文
すべてで、正確に読む練習をします。
7. 個別対応の徹底 お子さま一人ひとりの「読解のつまずき」は違います。
- どの読解プロセスが苦手なのか
- どんな表現でつまずくのか
- どのような支援が効果的なのか
これらを丁寧に見極めながら、個別の学習計画を立てていきます。
国語が得意なのに成績が伸びない子もいる
ここで、保護者の方からよく聞く悩みを紹介します。
「うちの子は本が大好きで、国語のテストもまあまあ取れるんです。でも、算数や理科が全然ダメで…」
これは、まさに新井氏が指摘する問題です。
文学作品を読む力(感情を読み取る力)と、教科書を読む力(事実を正確に把握する力)は別物
だからです。
物語を読んで感動できても、算数の文章題を正確に読めないことは十分あり得るのです。
逆に、文学作品が苦手でも、教科書を正確に読む力があれば、すべての教科で成績を上げることができます。
まとめ:すべては「読める」から始まる
新井紀子氏の研究が明らかにした事実は、明確です:
読解力(教科書を正確に読む力)が、学力を決める。
- 読解力と学力の相関係数は0.7以上
- 読解力と偏差値の相関係数は0.95
- 読解力が高いほど、有名大学の合格者が多い
そして、希望に満ちた事実もあります:
読解力は、トレーニングで伸ばせるスキルである。
多くの塾では、国語の読解問題の解き方や、漢字・語彙の指導に力を入れています。それは非常に価値のあるアプローチです。
しかし、その前段階として、すべての教科の教科書を正確に読む力を身につけることが、実は最も重要な学習の土台になります。
「教科書を読めるようにする塾」では、新井紀子氏の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』『シン読解力』で解説されている読解力育成メソッドをベースに、お子さま一人ひとりに合わせた個別の学習支援を行っています。
国語ができる人が成績が良いのは、偶然ではありません。 その秘密は「読解力」にあるのです。
そして、読解力は誰でも伸ばせる力なのです。
こんなお悩み、ありませんか?
- 「国語はそこそこできるのに、他の教科が伸びない」
- 「本は読むけど、算数の文章題が苦手」
- 「勉強しても成績が上がらない」
- 「塾に通っても、思うように伸びない」
- 「子どもに『やる気』がない」
もしかしたら、それは「やる気」や「努力不足」の問題ではなく、「教科書を正確に読む力」が不足しているのかもしれません。
新井紀子氏の研究では、読解力と学力には0.7を超える強い相関があることが証明されています。つまり、読解力を伸ばせば、すべての教科の成績が上がる可能性が高いのです。
私たちは、新井紀子氏の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』『シン読解力』で解説されている読解力育成メソッドをベースに、お子さま一人ひとりに合わせた個別の学習支援を行っています。
まずは教科書が読めるようになること。 そこから、すべての学びが花開きます。
▶ 教科書を読めるようにする塾について詳しく見る https://kyokasyo.com
参考文献
- 新井紀子(2018)『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社
- 新井紀子(2025)『シン読解力:学力と人生を決めるもうひとつの読み方』東洋経済新報社
- 新井紀子(2024)『新井紀子の読解力トレーニング』東京書籍
- 一般社団法人 教育のための科学研究所「リーディングスキルテストについて」
- 一般社団法人 教育のための科学研究所「シン読解力」