「うちの子、塾はまだ早いかも…」と感じる保護者へ—塾では教えてくれない"読み方"の話
「周りの子が塾に通い始めたけれど、うちの子にはまだ早い気がする…」
「塾に行かせたけれど続かなかった」
「塾に通っているのに、成績が上がらない」
こんな悩みを抱えている保護者の方は少なくありません。
実は、「うちの子には塾はまだ早い」という直感は、正しいのかもしれません。
小学生の通塾率—周りに流されていませんか?
文部科学省の調査によると、小学生の通塾率は以下のようになっています。
- 小学1年生:約16%
- 小学2年生:約19%
- 小学3年生:約21%
- 小学4年生:約26%
- 小学5年生:約33%
- 小学6年生:約38%
確かに学年が上がるにつれて通塾率は高まりますが、小学4年生でも7割以上、小学6年生でも6割以上の子どもが塾に通っていません。
「みんな塾に行っているから、うちも…」と焦る必要はないのです。
多くの進学塾が小学3年生の2月(新4年生)から中学受験カリキュラムを開始するため、この時期から通塾する子が増えます。しかし、それはあくまで中学受験を目指す場合の話です。
塾は素晴らしい学習の場—でも万能ではない
誤解しないでいただきたいのは、塾は非常に価値のある学習環境だということです。
集団塾には集団塾の、個別指導塾には個別指導塾の、それぞれ優れた特徴があります。
塾の優れた点
集団塾の強み
- 経験豊富な講師による質の高い授業
- 体系的なカリキュラムと豊富な教材
- 競争心を刺激する環境
- 同じ目標を持つ仲間との切磋琢磨
- 豊富な入試データと進路指導
個別指導塾の強み
- 一人ひとりのペースに合わせた指導
- 苦手分野の集中的なフォロー
- 質問しやすい環境
- 柔軟なスケジュール調整
- きめ細かな学習管理
これらは本当に素晴らしい強みです。多くの生徒が塾での学びを通じて、学力を伸ばし、志望校に合格しています。
しかし、塾では教えてくれないことがある
ここで重要な事実をお伝えしなければなりません。
ほとんどの塾では「文章の読み方」そのものは教えていません。
塾で教えてくれることは:
- 数学の解法テクニック
- 英語の文法と単語
- 理科の知識と実験の理解
- 社会の暗記事項と歴史の流れ
- 国語の解答テクニックと記述のコツ
これらはすべて重要で、価値のある指導です。
しかし、その前提として**「教科書や問題文を正しく読める」**ことが必要なのです。
なぜ塾では読み方を教えないのか
塾が読み方を教えないのは、塾が悪いわけではありません。
塾のカリキュラムは「文章は読めるもの」という前提で設計されているからです。限られた授業時間の中で、各教科の内容を効率的に教えることに特化しているのです。
国語の授業でも、主に教えるのは:
- 解答テクニック(傍線部の前後を読む、など)
- 記述問題の書き方
- 選択肢の絞り込み方
- 文学作品の鑑賞や心情理解
「文章を一文一文正確に読み取る力」そのものを育てる指導は、ほとんどの塾では行われていないのが現状です。
「塾はまだ早い」という直感の正体
「うちの子には塾はまだ早い気がする」
この直感は、実は的を射ているかもしれません。
保護者の方が感じる「まだ早い」という違和感の正体は、おそらくこういうことではないでしょうか。
- 教科書をスラスラ読めていない
- 問題文の意味を理解するのに時間がかかる
- 説明してもすぐに理解できない
- 学校の宿題にも苦戦している
これらは「学習の準備」ができていないサインです。
この状態で塾に通わせても:
- 授業の内容を理解できない
- 宿題をこなせない
- 成績が上がらない
- 自信を失い、勉強が嫌いになる
という悪循環に陥る可能性が高いのです。
新井紀子教授が明かした衝撃の事実
国立情報学研究所の新井紀子教授は、全国2万5000人(現在は50万人以上)を対象にした読解力調査で、衝撃的な事実を明らかにしました。
中学生の多くが、中学校の教科書を正しく読めていない
さらに、小学生で全教科の内容を正確に読めているのは、クラスに2〜3人程度だというのです。
リーディングスキルテスト(RST)が証明したこと
新井教授が開発したリーディングスキルテスト(RST)の調査で、以下のことが科学的に証明されています。
- RSTの能力値と学力には**極めて高い相関(0.80〜0.88)**がある
- 読解力が高い学校ほど、有名大学への合格者が多い
- 中学3年生以上になると、読解力は自然には上がらない
- 読解力が学力をほぼ決定している
つまり、どんなに優れた塾の授業を受けても、その内容を正しく理解できる読解力がなければ、効果は限定的だということです。
塾での指導が機能しない理由
なぜ読解力がないと塾での学習が効果を発揮しないのでしょうか。
ケース1:算数の授業の場合
先生が「この問題では、まず全体の数を求めます」と説明します。
読解力がある子: → 説明を正しく理解し、ノートに整理できる → 同じパターンの問題を自力で解ける
読解力が不足している子: → 説明の意味が理解できない → 何をすればいいのかわからず、ただ板書を写すだけ → 家で復習しようとしても、何も思い出せない
ケース2:国語の授業の場合
先生が「この場面の主人公の気持ちを考えましょう」と言います。
読解力がある子: → 文章から主人公の置かれた状況を正確に把握 → 論理的に気持ちを推測できる
読解力が不足している子: → そもそも文章の状況が理解できていない → 表面的な言葉から何となく推測するだけ → 正解しても偶然で、再現性がない
浜学園も認める読解力の重要性
中学受験の名門塾である浜学園でも、次のように指摘しています。
「算数は数式やテクニックを学ぶことで再現性が高く、効率的に習得しやすいため、多くの子どもたちが成果を上げやすい科目です。しかし、国語は、読解力や創造力を高めるための基盤となる『読む力』が求められます。単なるテクニックではなく、基礎的な読解力が土台となるため、塾での指導だけでは充分なサポートが難しいという課題があります。」
つまり、トップレベルの進学塾でさえ、「読む力」の育成には限界があることを認めているのです。
学習塾の先生も感じる読解力低下
株式会社SRJが全国の学習塾の先生334名に行ったアンケート調査では、以下の結果が出ています。
- 「生徒の語彙力が低下している」:89.8%
- 「読解力の低い生徒が増えている」:82.0%
現場の先生たちも、子どもたちの読解力不足を実感しているのです。
そして多くの先生が「読解力は短期間では向上しない」「小学生の早い段階からのトレーニングが必要」とコメントしています。
では、どうすればいいのか
答えはシンプルです。
塾に通う前に、まず「教科書を正しく読む力」を育てる。
これが、すべての学習の土台となります。
読解力を育てる科学的トレーニング
新井教授の研究チームが全国の学校で実践し、実際に効果が実証されたトレーニング方法があります。
- 教科書の指さし確認:重要な箇所を正確に見つけ出す
- 黙読:自分のペースで内容を理解する
- 音読:声に出して文章のリズムを体で覚える
- 聴写:先生や音声が読むのを聴いて、耳から情報を取り込む
- 視写:文節のまとまりで覚えて書き写す
- 校閲:お互いにチェックして確認する
- 質問に答える:読んだ内容を意味として定着させる
福島県相馬市では、この一連のトレーニングを朝の5分間×週3回実施しただけで、数ヶ月でRSTの能力値が大幅に向上しました。
「教科書を読めるようにする塾」の役割
私たち「教科書を読めるようにする塾」は、他の塾と競合するものではありません。
むしろ、すべての塾での学びを最大限に活かすための土台を作ることが私たちの役割です。
当塾が目指すこと
集団塾や個別指導塾が各教科の内容を教えることに優れているように、私たちは「教科書を正しく読む力」を育てることに特化しています。
- リーディングスキルテスト(RST)による科学的な診断
- 一人ひとりの弱点に合わせた個別トレーニング
- 新井教授の研究に基づいた実証済みの方法
- 教科書を使った視写、音読、聴写の実践
- 学習言語の語彙を増やす系統的な指導
塾との違い
| 一般的な塾 | 教科書を読めるようにする塾 | |
|---|---|---|
| 教えること | 各教科の内容・解法テクニック | 文章の読み方そのもの |
| 前提 | 教科書が読めること | 読めるようになること |
| 目標 | テストの点数向上・受験合格 | すべての学習の土台作り |
| 効果が出る子 | すでに読解力がある子 | 読解力を育てたい子 |
つまり、私たちは塾に通う前に必要な力を育てる場所なのです。
こんな段階のお子さんに最適です
- 教科書をスラスラ読めない
- 音読するとつまずくことが多い
- 問題文の意味を理解するのに時間がかかる
- 「塾はまだ早い」と感じている
- 塾に通わせたけれど続かなかった
- 塾に通っているのに成績が上がらない
これらは「読解力不足」のサインです。
この段階で無理に塾に通わせても、お子さんも保護者の方も辛い思いをするだけかもしれません。
読解力が育てば、すべてが変わる
逆に、読解力という土台さえしっかり育てば:
- 教科書が自分で読めるようになる → 予習・復習が自力でできる
- 塾の授業が理解できるようになる → 塾での学習効果が最大化される
- 問題文の意味が正確にわかる → ケアレスミスが減り、正答率が上がる
- 自学自習ができるようになる → 学習習慣が自然と身につく
- 自信がつき、勉強が楽しくなる → 積極的に学ぶ姿勢が生まれる
読解力は、一度身につければ一生の財産になります。
塾のタイミングを見極める
では、いつから塾に通うのがベストなのでしょうか。
答え:教科書を自分で正しく読めるようになってから
これが、塾での学びを最大限に活かせるタイミングです。
塾を活かせる状態のチェックリスト
- □ 教科書を音読するとき、ほとんどつまずかない
- □ 読んだ内容を自分の言葉で説明できる
- □ 問題文を読んで、何を求められているか理解できる
- □ わからない言葉が出てきたら、辞書で調べる習慣がある
- □ 学校の授業内容を理解できている
これらができていれば、塾での学びが大きな効果を発揮するでしょう。
まだできていなければ、まず読解力を育ててから塾を検討しても遅くはありません。
まとめ—焦らず、順序を大切に
「周りの子が塾に通っているから、うちも…」という焦りは自然な感情です。
しかし、お子さんの学習の準備が整っていない状態で塾に通わせても、期待した効果は得られません。
それどころか、「自分はできない」という負のイメージを植え付けてしまう可能性さえあります。
大切なのは、正しい順序です。
- まず、教科書を読める力を育てる → 「教科書を読めるようにする塾」で土台作り
- 読解力がついたら、各教科の学習を深める → 集団塾や個別指導塾で専門的な指導
- さらに高みを目指す → 進学塾で受験対策
この順序を守ることで、お子さんの学力は着実に、無理なく伸びていきます。
「うちの子には塾はまだ早い」は正しい直感
もしあなたが「うちの子には塾はまだ早い」と感じているなら、その直感を大切にしてください。
それは、お子さんの準備が整っていないことを、保護者として敏感に察知しているのかもしれません。
焦って塾に通わせる前に、まず**「読む力」という土台**を育ててあげてください。
土台がしっかりすれば、その上に建つ家(学力)は安定し、高く伸びていきます。
教科書を読めるようにする塾では、新井紀子教授の研究成果に基づいた科学的なトレーニングで、すべての学習の土台となる読解力を育てます。
「塾に通わせる前に、まず読む力を」
お子さんの学習でお悩みの保護者の方は、ぜひ一度ご相談ください。
公式サイト:https://kyokasyo.com
参考文献・データ
- 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」
- 新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)
- 新井紀子『シン読解力:学力と人生を決めるもうひとつの読み方』(東洋経済新報社)
- 株式会社SRJ「全国学習塾先生アンケート」(2023年)
- 浜学園×Yondemy連携プレスリリース(2024年)