【学習習慣が大事?それ以前に“教科書が読めていない”可能性を見直そう】

はじめに:「勉強の習慣はついているのに、なぜか伸びない」
「毎日コツコツ机には向かっている」
「宿題も欠かさずこなしている」
それでも、成績がなかなか上がらない。
そんな悩みをお持ちの保護者の方も多いのではないでしょうか?
「学習習慣」はたしかに大切です。
しかし、それ以前に見直すべき根本的な問題があるかもしれません。
それが、“教科書を正しく読めていない”という読解力の問題です。
「習慣がある=理解している」ではない
子どもが毎日机に向かっていても、
その時間が「理解につながっていない」ことがあります。
- 教科書をただ音読しているだけ
- ノートを写しているだけ
- 宿題を機械的にこなしているだけ
こうした“作業”が習慣になってしまうと、
学習の質が上がらず、成果に結びつきにくくなります。
大切なのは、「読む・考える・理解する」ことが習慣になっているかどうかです。
新井紀子氏が指摘する「読解力の見えない壁」
新井紀子氏の読解力調査(RST)では、
多くの子どもたちが「教科書を読んで理解する力」に課題を抱えていることが明らかになりました。
たとえば:
- 指示語(これ・それ・あれ)が何を指しているか分からない
- 文と文の論理的なつながりがつかめない
- 否定文や比較文の構造を誤解してしまう
このような状態では、いくら学習時間を積み重ねても、
知識が定着せず、学力として表れません。
読めていない教科書の“誤解”が学習を邪魔する
たとえば算数の文章題。
「120円のりんごを3個買いました。合計はいくらですか?」
この文章をきちんと読めていないと、
- 「3個」なのか「3円」なのか
- 「合計」とは何を指すのか
といった情報が曖昧なままになり、
正しい計算にたどりつくことができません。
理科や社会でも同様です。
「原因と結果」「手順と結果」「比較と共通点」など、
教科書の中には高度な論理構造がたくさん含まれています。
これらを正確に読み取る力がなければ、
どれだけ反復しても“意味のある学習”にはなりません。
学習習慣の前に「読む力」を育てよう
読解力とは、単なる国語の力ではなく、
**すべての教科に共通する“学びの入口”**です。
- 言葉の意味を理解する
- 論理の流れを追う
- 指示語や接続語から文同士の関係を読み取る
この力が備わっていないまま、
毎日の学習習慣だけを積み重ねても、
それは“中身のないルーティン”になってしまう恐れがあります。
まとめ:「習慣の質」を高めるために、まず読む力を
勉強の習慣は、たしかに学力向上に欠かせません。
しかし、それ以上に大切なのは、**「何を、どう理解しているか」**という学習の質です。
お子さんがどれだけ机に向かっていても、
“読めていない教科書”を使い続けている限り、
成績は思うように伸びないかもしれません。
だからこそ、今こそ立ち止まって確認してみてください。
- 教科書の文をきちんと読めているか?
- その内容を自分の言葉で説明できるか?
- 答えの根拠を、文中から見つけ出せるか?
それができるようになると、学習習慣は
“積み重ねる価値のある時間”へと変わっていきます。
読解力を育てることは、
子どもの学びの“エンジン”を整えることなのです。