【塾に通っても成績が上がらない子に共通する“学習の落とし穴”とは】

はじめに:塾に通っているのに、なぜ?
「うちの子、塾にも通っているのに成績が上がらない…」
「まじめに取り組んでいるのに、テストになると点が取れない」
このような声は、実は多くの保護者から聞かれます。
「塾に行けば安心」と思っていたのに、思うような成果が出ないと不安になりますよね。
では、なぜ塾に通っても成績が上がらない子がいるのでしょうか?
その答えの一つが、“教科書をきちんと読めていない”=読解力の不足にあります。
落とし穴1:表面的な理解で“わかった気”になっている
塾の授業はスピードが速く、内容も多いため、「なんとなくわかった気になる」ことがよくあります。
- 解説を聞いて「できそう」と思った
- 周囲と同じようにノートを取って満足してしまう
- 演習問題が“たまたま”できただけで安心する
こうした状態では、知識が定着していなかったり、理解が浅かったりすることがよくあります。
とくに“教科書の内容そのもの”をきちんと読んで理解する力がなければ、
塾で扱う応用問題にもついていけません。
落とし穴2:「読解力」がすべての教科に影響している
新井紀子氏の研究によれば、成績が伸び悩む子どもの多くに共通するのが、
教科書の内容を正確に読み取る力=読解力が不足しているという点です。
読解力と聞くと「国語のこと」と思われがちですが、実際には:
- 算数:文章題の条件を読み取って数式に落とし込む力
- 理科:実験の手順や因果関係を読み取る力
- 社会:制度や歴史の構造的な理解力
など、すべての教科に読解力が関わっているのです。
つまり、どれだけ塾で演習しても「そもそも読めていない」状態では結果が出にくいのです。
落とし穴3:「知識の丸暗記」だけでは太刀打ちできない時代
近年の教育では、単に暗記した知識を吐き出すだけでなく、
“理解して活用できるか”が問われるようになっています。
たとえば:
- 与えられた資料を読み取って、自分の意見を述べる
- 数学的な条件を使って文章の意味を整理する
- 歴史的な背景を踏まえて出来事のつながりを説明する
このような「自分で読み、考え、表現する」問題に取り組むには、
土台となる読解力が不可欠なのです。
どれだけプリントをこなしても、「なぜそうなるのか?」を理解していなければ、
少し出題形式が変わるだけで、まったく対応できなくなってしまいます。
読解力を育てる=学力の“土台”を育てること
成績が伸びないからといって、問題集を増やすだけでは効果が出ません。
まず見直すべきは、「子どもが教科書を本当に“読めている”のか?」です。
● 言葉の意味を理解しているか?
● 文の構造(誰が・何を・なぜ)をつかんでいるか?
● 自分の言葉で説明できるか?
こうした「読む力」があってこそ、塾の授業も活きてきます。
おわりに:「塾に通わせる前に、読解力を見直そう」
塾は学習の強い味方です。
ですが、その効果を最大限に活かすためには、
まず子どもの“読む力”の状態を知ることが大切です。
教科書が読めていないままでは、どんなに授業を受けても、
その知識は“砂の上の城”のように崩れてしまいます。
だからこそ、今、あえて立ち止まって
「うちの子、教科書をきちんと読めているだろうか?」
と問い直してみてください。
その気づきが、成績アップの本当の第一歩になります。